それを問題として見ないセンス
僕の歌(詩)の師匠に、草壁焔太先生がいる。
先生と出会って1番のカルチャーショックは常に笑っていること。
『全ての問題は深刻に考え過ぎることから、始まるんですよ。大人が深刻な顔をしていると、子供が深刻な顔になる。大人が笑えば、子供も笑っているんです。あなたの問題も、周りの大人が笑って見守っていたら、問題として成り立つことすら出来ないんです』
先生はこの言葉通りの生き方を実践されている。
先生は東京大学卒で、出版の社長、そして詩の先生でもあるからして、たくさんの人々が相談にやってくる。
僕は、しばらく先生と共に過ごして見てきたのだけれども、何を相談されても笑っている。
むしろ、質問や疑問にも答えてないことも多々ある。
『はっははっ〜、そうなんですか〜(笑笑)』
そう反応するだけ。
相談した方がどんなリアクションになるかと言うと、もちろん『ありがとうございます!』とはならない。
『もう!先生!ちゃんと聞いてください!!』
と少し拍子抜けた様子。
でも、何故か先生への相談や質問は後を絶えない。
問題を問題として扱ってくれないので、
その場では、いかにその問題が緊急で難関であるかを先生に説明するにもかかわらず、先生は笑っているばかり。
相談者はその場で、何のヒントも解決策も得られてないのに、
後日、先生には感謝の言葉が送られてきたりする。
その場では理解、納得は出来なくても、
《問題を問題として見ない》
それがどうやら相談者の心を、問題から解放させてしまうようだ。
先生のその笑いは。
問題を否認したり、問題を拒絶したり、問題から目を離したりするということではなく、
問題を受け止めつつも、
でも、その問題があなたを幸せにしない理由って本当にあるのだろうか?
と優しく問いかけている。
この世の中は、それを問題として見ようとしたら、全てが問題に見えてくる。
でも、笑って世界を見渡せば、
世界は微笑ましいものに見えてくる。